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第39回 サラリーマンでも「スーツ代」や「交通費」を経費にできるってホント?

今回の相談者は編集部A。
長引く不況もあり、Aは「何か節約できる方法はないか」と日頃からアンテナを張りめぐらせています。そんなときに税金に詳しい同僚から「サラリーマンでも、スーツ代や交通費などを経費にできる制度があるらしい」と聞きました。自営業でない自分にそんなことができるとは夢にも思わなかったA。
さっそく詳しい話を聞こうと、リリ先生を訪ねてきました。

こんにちは、リリ先生。
今日はサラリーマンでもできる節税についてお聞きしようとお邪魔しました。実は先日、同僚から「サラリーマンでも、自営業の人のようにスーツ代や交通費を費用にできる制度がある」と聞きました。そんな制度が本当にあるんでしょうか?
リリ先生
ありますよ。「給与所得者の特定支出控除制度」という制度です。
やっぱりあるんですね。その「給与所得者の特定支出控除制度」とは、どのような制度なのでしょう?
リリ先生
ざっというと、サラリーマンなど給与所得者が、仕事をする上で必要なものにお金を使った場合、その金額を自営業者でいうところの「経費」にできるという制度です。確定申告をすることで、所得税や住民税が戻ってきます。
すると、サラリーマンのぼくが確定申告をして、この制度を利用すれば税金を減らせるかもしれないと?
リリ先生
そういうことです。
やった!なんだかうれしくなってきたぞ。具体的にはどのような出費が対象となるのでしょう?
リリ先生
リリ先生:国税庁は、次の6つを対象にすると定めています。

■通勤費…一般の通勤者として通常必要であると認められる支出(※1)

■転居費…転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出

■研修費…職務に必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出

■資格取得費…職務に直接必要な資格を取得するための支出(※2)

■帰宅旅費…単身赴任などの場合で、その者の勤務地または居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出

■勤務必要経費…次のうち、仕事に直接必要なもの(※3)
  • 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
  • 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
  • 交際費、接待費その他の費用で、給与などの支払者の得意先、仕入れ先その他職務上関係のある者に対する接待費、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)
出典:国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1415.htm
(※1 通勤手当として勤務先から交通費を支給してもらっている分を含めることはできません)
(※2 弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費、MBAなどキャリアアップのために行く大学員の学費も対象となります)
(※3 図書費、衣服費、交際費は65万円が上限となります)

今、挙げたもののように、仕事に必要な交通費やスーツ代、資格取得などにかかった費用が対象になります。
そうかあ、けっこういろいろな支出が対象になるんだな。 どれくらいの金額が税金から控除されることになるんでしょう?
リリ先生
サラリーマンなどの給与所得者が所得税を計算するときには、必ず「給与所得控除」というものを給与の収入から差し引きます。この「給与所得控除」の半額を、今挙げた6つの支出が超えたときに、その超えた金額を「特定支出」として控除することができます。
例えば、年収500万円の人だとどうなりますか?
リリ先生
500万円の年収がある人であれば、給与所得控除額が1,546,000円です。また、その半額は、773,000円です。 この人が、例えば、年間100万円の特定支出があったとします。すると、100万円-773,000円=227,000円を「特定支出控除」として所得税の計算をする際に、所得から差し引くことができるというわけです。
なるほど。だんだんどういう制度かわかってきたぞ。
でも、今リリ先生が説明してくれた例のように年間100万円近くも支出するものって、なかなかするな。例えば、スーツなんて一年で1、2着買うか買わないですから、量販店で買うと年間10万円にも達しません。交通費にしても、会社から支給されている分は含まれないようだし、けっこう利用できる人は限られてしまいそうですね。
リリ先生
確かに、今お伝えしたように、「給与所得者の特定支出控除制度」を使えるのは、給与所得控除の半額以上を経費として使った場合ですし、しかも超えた部分だけが対象です。そのため、けっこう大きな金額を経費として使わないと対象にはなりませんね。また、この制度を利用するためには、勤務先に「特定支出」として証明をしてもらう必要があり、そのためには、ものを購入した際の領収書が必要になります。
ぼくたちサラリーマンにとって確定申告をしないといけないというのも、ややハードルが高い気もします。
リリ先生
そう感じるかもしれませんね。とはいえ、上手に利用すれば税金が少なくなる制度ではありますので、きちんと理解して手間を惜しまなければ、利用するメリットはある制度ですよ。
わかりました!あらためて、自分の給与や支出を見直してみて、節税できるようであればぜひ活用したいと思います。節約のためには、何事も面倒くさがらないことが大切ですものね!リリ先生、今日も勉強になりました。ありがとうございました!

今回のまとめ
  • 「給与所得者の特定支出控除制度」とは、給与所得者が、仕事をする上で必要なものにお金を使った場合、その金額を「経費」にできる制度。給与所得者が確定申告をして、この制度を利用すると、所得税や住民税が戻ってくる可能性がある。
  • 特定支出控除の対象になるのは通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費など)の6つの支出。
  • 給与所得者が所得税を計算するときには「給与所得控除」を給与の収入から差し引くが、この「給与所得控除」の半額を、制度の対象となる6つの合計支出が超えたときに、その超えた金額を「特定支出」として控除することができる。
  • 例えば、年収500万円の人であれば、給与所得控除額が1,546,000円となるので、その半額は773,000円となる。この人に年間100万円の特定支出があったとすると、100万円-773,000円=227,000円を「特定支出控除」として所得税の計算をする際に、所得から差し引くことができる。
ファイナンシャルプランナー 加藤梨里

ガイドProfile

加藤梨里(Lili Kato)

マネーステップオフィス株式会社 代表
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)
マネーマネジメントコーチ
金融知力インストラクター
保険会社、信託銀行勤務を経てファイナンシャルプランナーに。
金融教育機関や生涯学習センターなどでセミナー講師を務めるほか、
日本FP協会での相談業務や金融教育授業にも多数携わっている。

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